10月12日(金)~10月17日(水)まで、東京ソラマチ5F産業観光プラザすみだまち処と、墨田区内の小さな博物館、工房ショップ、すみだマイスターの工房で「すみだ3M運動スペシャルウィーク」が開催されました。
スペシャルウィークの特別イベントとして、デザイナーやクリエイター、地域メディアを対象とした「工房見学ツアー」が10月15日(月)に開催されました。
13名が参加して、すみだリバーサイドホールミニシアター(墨田区役所1階)で墨田区の産業の説明を受けた後、かざり工芸三浦(錺かんざし)、HIS-FACTORY(革かばん、革小物)、硝子企画舎(ガラスアート)、すみだマイスター藤澤幸宏「藍染博物館」(藍染半纏・ゆかた)、向じま梅鉢屋(野菜の砂糖漬菓子)、片岡屏風店(屏風)の6つの工房を巡りました。
最初に訪れた、「かざり工芸三浦」(墨田区東駒形3-22-7)では、4代目三浦孝之さんによる工房の歴史、錺かんざしの説明や製作の方法などを分かりやすく説明を受けました。現在は、歌舞伎や日本舞踊などの演劇用かんざしや芸者さんのかんざしの製作と古いかんざしの修復を行っているそうです。また、現代風なモダンなかんざしも製作。「かんざしの魅力を身近に感じてもらえれば」と三浦さん。
三浦孝之さん(右)と修行中の津留崎千勢さん(左)
次に、革かばん、革小物の工房「HIS-FACTORY」(墨田区吾妻橋1-16-5)にお伺いしました。
代表の中野克彦さんは、自社ブランド革製品とオーダーメイド品にこだわり製造・販売、革の厳選から裁断、縫製すべての工程を工房内で行っています。革の持つ特性や製造方法、道具や機械の説明、革製品製造の細部のこだわりなどを聞くことができました。
お昼は、業平にある和食のぜん波さんで昼食。美味しいランチを楽しみながら、参加者同士の交流を図ることができました。
昼食後は、バス移動で「硝子企画舎」(墨田区押上3-6-1)に訪問。
キルンキャスティングと呼ばれる電気炉鋳造技法をによるガラス製造が特徴。ガラス作家を中心とした、ワークショップやギャラリーを併設。
代表の井上剛さんによる作品の紹介や製造、技法の説明を受けました。
小さな博物館「藍染 博物館」(墨田区京島1-29-1)では、すみだマイスターである藤澤幸宏さんの説明により、藍染の説明や実技を見ることができました。
「柄のつなぎや幾度も藍を染める手順などの作業を目の当たりで見ると、普段親しみのある浴衣や手ぬぐいの見方も変わってきますね」と参加者のひとり。
藤澤さんは、観光物産品ではなく、日常の生活に使われるものを作り続けたいと言います。
続いて向かったのは、「向じま梅鉢屋」(墨田区八広2-37-8)。向じま梅鉢屋は、江戸時代から受け継ぐ「砂糖漬・野菜菓子」の技法を忠実に今に伝える唯一の菓舗として今なお、多くのお客様に親しんでもらっているお店です。
市場から仕入れた新鮮な野菜を何時間もかけ、形を崩さず、甘さを野菜の中まで浸透させていく技法を実際に作業を行う調理場でお話をお伺いすることができました。
喫茶コーナーで、品のいい甘さと野菜の風味と感触に頬を緩ませながら「砂糖漬・野菜菓子」の試食をいただきました。
最後に向かったのは、都内唯一の屏風専門店の「片岡屏風店」(向島1-31-6)。伝統的な屏風をはじめ、2020年オリンピック・パラリンピックで墨田区で開催されるボクシングにちなんだ「あしたのジョー×すみだ」のコラボレーション屏風などを見学するとともに、三代目の片岡恭一さんに、屏風の作り方や説明を受けました。
「屏風の製造技法やこだわりを教えていただいたことにより、これから美術館に行った際には、絵だけではなく、屏風にも目が行きそうです」と参加者。
今回、ツアーを訪れた感想は、歴史を受け継ぎながらも現在に通じる商品を常に作り出していること。大量生産品ではなく、一人ひとりのお客様と対峙しながら細部までこだわった商品づくり。そして、いかに難しい製作の相談を受けても、“無理です”という言葉を発することなく、その解決策を紐解きながら結果を出していく姿に本当のプロフェッショナルを感じました。
ツアー終了後は、片岡屏風店で懇親会が開催され、ツアーでは聞くことができなかったこと、自分の仕事に結びつく相談などを最後まで話がつきませんでした。
「普段では、聞けないお話や製造過程を見ることができて、とても貴重な体験ができました」「職人やマイスターとゆっくりお話をすることもでき、有意義な1日を過ごすことができました」「参加者同士のつながりができました」とそれぞれの感想を述べる参加者たち。
「墨田区の産業は、一つの産業に特化することなく、様々な産業で成り立っています。その中には、生活に密着した商品も多くあります。今回のイベントは、そんな墨田区の魅力でもある産業品の紹介やクリエイターとのコラボレーションによる新たなビジネスのチャンスを生む機会にもなればと企画しました」と墨田区産業振興課の職員。
「すみだ3M(スリーエム)運動とは、1985(昭和60)年にスタートした、墨田区の産業PRとイメージアップ、地域活性化を図る事業です。
「小さな博物館」(Museum)。工房と店舗の機能を備えた、製造と販売が一体化した「工房ショップ」(Manufacturing shop)。付加価値の高い製品を創る技術者である「マイスター」(Meister)の3つの頭文字をとって「3M(スリーエム)運動」と呼んでいます。3つの運動を有機的につなぎ合わせ、すみだの優れた産業と生産品が「正当な評価」「より高い評価」を受けることを目指すとともに、ものづくりの素晴らしさや大切さをアピールするものです。
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